犬の異物摂取による腸閉塞

犬の異物摂取は、様々あります。異物摂取しても排出してしまえば問題ありませんが、小腸で異物が閉塞を起こした時に症状が現れます。

私の臨床経験では、石や野菜や果物の丸のみ、生理用品、紐、焼き鳥の串、ハンドタオル、ゴムの塊、靴下などです。検査はエコー検査や造影検査をおこないます。

下の写真はタコ糸を食べて腸閉塞をおこした写真です。タコ糸は、胃から空腸にありました。

M1150003

完全な腸閉塞をおこすとその周囲の血液循環が悪くなり、閉塞部の腸組織は腐ってしまうこともあります。このため、明らかな場合には手術が必要になります。手術終了後、徐々に食事を再開させます。

 

実際の症例を見てみましょう。症例は5歳メスのトイプードルです。主訴は、「痙攣してフラフラしている。嘔吐もした。」です。この主訴だけ聞くと神経疾患かな?と推察しましたが、いくつか検査をすると、十二指腸の先で完全閉塞していることが解りました。そのため、点滴などで状態を回復した後に手術することになりました。

この症例のように完全閉塞を起こしている場合の方が、上の写真の様な不完全閉塞よりも重篤であることが知られています。

実際に開腹してみると、十二指腸の入り口付近でスーパーボールを確認しました。下が、取出したスーパーボールの写真です。閉塞していた部位は、胆汁や膵臓の消化酵素の出口に近く、膵臓の一部が硬結しており、今後に膵炎などを起こさないか?注意が必要です。

M2590002

手術の翌日にはまだ、元気がありませんでしたが、徐々にトイプードルの活発性が戻りました。下の動画は手術2日目です。

次の動画が、手術5日後です。徐々にご飯の量を増やしています。