皮膚縫合

今回は、皮膚縫合です。えっ!それだけ?と思われる飼主さんも多くいるのではないでしょうか?でも、時折来院されます。その殆どが、「毛玉を切っていたら誤って皮膚まで・・切ってしまった。」という理由ですが、稀に車のタイヤに毛を巻き込まれて皮膚が契れてしまったケースもあります。治療は、傷が塞がるのを待つ内科的選択肢と外科的に縫合する選択肢に分かれます。

ここでは、外科的に皮膚縫合する場合を取り上げます。このメリットは皮膚縫合して1週間後ぐらいには傷が塞がることです。デメリットは、全身麻酔のリスクがあること、費用がかかることではないでしょうか?  また、皮膚縫合をする条件として、受傷して時間が経過していないことや明らかな感染がないことなどが挙げられます。

複雑な裂傷

最初に、車のタイヤに皮膚を巻き込まれて皮膚が契れてしまった症例です。この場合、出血もひどく外傷領域も大きく、皮膚の切れ方も複雑です。しかし、このような場合にこそ外科的な縫合の必要性を感じます。このような交通事故の場合には、下の写真の様に皮膚が不安定でより癒合し難いためです。

しかし、これを縫合すると下のような写真になります。剃毛してよく観察すると、手根関節から爪の根元まで裂けているのが解ります。また、写真では解りませんが、指の間も裂けていました。

次がおよそ10日後の状態です。最初の状態です。一部は完全に癒合していませんが、状態としては申し分ない状態と判断しています。

単純な裂傷

では、実際の症例を見てみましょう。この症例も毛玉をカットしていたら、皮膚を切ってしまいました。恐らく被毛を持上げてカットしているので、ちょっと切っても、下の動画の様に大きな傷になってしまいます。

この症例は受傷して1時間くらいで来院しましたが、充分に消毒した後に皮膚を縫合しました。次の動画が1週間した抜糸した後の状態です。すっかり傷は閉鎖しているのがわかります。エリザベスカラーも外すことができました。