猫の乳腺腫瘍

猫の乳腺腫瘍は、基本的に手術になります。乳腺腫瘍は、乳腺組織が腫瘍化したことで小豆くらいに大きくなると触れます。猫の乳腺腫瘍は、悪性の可能性が高いことが知られていて、乳腺付近にできた腫瘤は摘出して病理診断することが大切です。治療は外科手術と術後の抗がん剤治療が必要です。 予防は生後3回までの発情に避妊手術をすることで乳腺腫瘍の発生率を下げることができます。

次の症例は9歳のメス猫で避妊手術はしていません。最近、急速に腫瘤が大きくなってきたとの主訴で来院されました。この猫さんは飼主さんも触れることは大変で麻酔をかけて初めて確認できたのが次の写真です。かなり大きくなっているのがわかります。

やはり、発生部位を考慮してすぐに手術することになりました。次が手術直後の写真です。

手術の時には、明らかな胸の転移巣は確認できませんでしたが、十分注意が必要です。また、本来なら外科手術後の抗癌治療を選択するところですが、ペットの性質上難しいと思われる症例でした。ただし、現在も食欲はあり元気もいっぱいです。

 

下の写真は、乳腺腫瘍切除1か月後の猫の腹部写真です。この症例は第3~4乳腺間に小豆大の腫瘤ができました。場所を考慮すると、乳腺腫瘍の可能性が高く、第3と第4乳腺と大きく切除しました。やはり、病理診断の結果、この腫瘤は乳腺癌(悪性)でした。当院では、悪性の場合には、手術後に抗癌治療をお勧めしています。

M1160002

ちなみに、乳腺腫瘍の発生率を下げるには、なるべく発情が始まる若い時に避妊手術(外科・猫・避妊手術のページをご覧ください。)を行うことが重要です。乳腺腫瘍摘出手術は、切除する大きさにもよりますが、最低当日は入院して、落着いたら帰宅します。ご自宅では、エリザベスカラーの装着と内服薬を6~12日間投薬して頂きます。抜糸はケースにもよりますが、1週間前後となります。

このできものは?と不安になった場合には診察にご来院下さい。