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猫の子宮蓄膿症について

今回は猫の子宮蓄膿症についてのお話しです。猫の子宮蓄膿症は、犬と同様に子宮内に膿が溜まる病気です。病態に違いはないのですが、猫は若齢での発症も多いのではないか?と思いレポートさせて頂きました。 成書には、犬も猫もシニア世代に入る年齢から増加する傾向にあると記載されていますが、猫では1歳前後でも発症することが意外とあると思います。今回も生後1年くらいの猫の子宮蓄膿症を治療したのでレポートさせて頂きました。

この症例は1歳の雌ネコです。既往歴はありません。外陰部からの出血をもとにエコー検査によりすぐに手術になりました。 早期の発見でしたので食欲もありますし、症状も明瞭ではありません。しかし、開腹すると予測通り子宮は腫大していて、その中を確認してみると下の写真の様に膿が貯留しています。

手術の傷口も次の写真の様に通常の避妊手術に比べて少し大きいのですが、手術後の状態はある程度元気でしたので2日入院して退院することになりました。

こんなに元気で若い猫が子宮蓄膿症になるわけがない。とついつい考えがちですが、先入観なく診療することの大切さを痛感させられる症例ですね。

犬・停留精巣(陰睾)の去勢手術

今回は、陰嚢内に精巣が下降していない停留精巣の去勢手術です。勿論、雄犬に限ることのお話しです。精巣が、出生後にお腹から陰嚢内に下降せずにお腹の中に留まってしまったり、お腹から出たが陰嚢まで行かずに途中で止まってしまった状態の精巣を停留精巣(陰睾)と呼びます。それが、両方の精巣に起こったり、片方の精巣に起こったりします。 精巣が陰嚢内に下りずに、体内に停留して高温条件下では精巣腫瘍の発生率が高くなることが知られています。

今回の症例は、6か月の柴犬です。陰嚢内には、1つしか精巣を確認できません。

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停留精巣はペニスの横に存在していました。次の写真は停留精巣を確認しているところで、ペニスの横にありました。このため、切開部位は下の写真の様に2か所になりました。

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手術後は、6日間の投薬と抜糸までのエリザベスカラー着用をお願いして帰宅しました。1週間後に抜糸になります。

 

 

猫の精巣捻転の手術

猫の精巣捻転も珍しい病気だと思われます。元気や食欲が無くなるなどの症状はありません。ただ、捻転している側の精巣が血液のうっ血により正常側の精巣よりも腫大している点が外貌よりわかる変化でした。

これが正常の精巣の写真です。通常の精巣は、左右均等で肌色から淡いピンク色を呈しています。

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次が捻転した精巣の写真です。写真では途中から捻じれているの解ります。捻じれている部分から暗赤色を呈していてます。捻転後の経過時間が長いものは切除するのが良いと思われます。捻転経過が長い症例では、血液のうっ滞により解剖構造が正常と比較して解りにくいので注意が必要です。

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手術後は、特に感染が起きていなければ去勢手術と変わりません。

犬の子宮捻転の手術

子宮捻転を初めて診察しました。手術前は、子宮蓄膿症と同じような検査結果を示します。エコー検査やレントゲン検査、血液検査などの結果は子宮蓄膿症とほぼ同じであることがわかりました。

子宮蓄膿症との違いをあげるならば、症状だと思われます。                    それは、殆ど外陰部からの排膿を示さない点と排膿というよりは血液あるいは血様分泌物を排出する点でした。下の写真は、捻転子宮を腹腔外へ出した写真ですが、子宮の根元より何重にも捻じれているのが解ります。さらに、捻じれた子宮の大部分は、多量の血液凝固塊を容れて暗赤色に腫大していました。症状として少量の血様分泌物を出していたのは、この部分から漏れ出ていたと推察されました。

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下の写真は手術直後です。この症例は、捻転子宮より腹膜炎を併発していたにもかかわらず、予測に反して術後の覚醒などはスムーズでした。この点も子宮蓄膿症との相違点かもしれません。

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手術3日目に退院しましたが、食欲と元気は徐々に回復しました。

 

犬の子宮蓄膿症

犬の子宮蓄膿症は、文字通り子宮に膿が溜る生殖器疾患です。症状は、食欲廃絶、多飲、発熱、外陰部からの排膿などです。この様な症状が見られたらご来院下さい。エコー検査では、特徴的な所見を多く認められます。

手術では、膿の溜まった子宮と卵巣を丁寧に取外します。下の写真は、手術直後の写真です。

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退院は、手術後の状態にもよりますが、3~5日後ぐらいになります。退院時には、随分としっかり起立可能な状態となっています。写真は手術3日後の退院時です。

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抜糸は手術後7~10日後におこないます。

 

次の症例は、ラブラドルレトリバー11歳です。主訴は、起立が出来なくなったとのことでした。骨・神経疾患を疑いましたが、身体検査・血液検査・エコー検査をしてみると子宮蓄膿症と急性腎不全であることが解りました。 点滴にて急性腎不全を治療した翌々日に子宮蓄膿症の手術を行いました。下の動画は、点滴をしている時の状態です。全く元気がないのが解ります。

次の動画が、手術直後の状態です。腎不全の再発もなく、無事に手術を乗切ってくれました。ぐったりしてますね。下の写真が、摘出した卵巣と子宮です。左側の子宮が太くなっていて、この中には膿が溜まっています。

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次の動画が手術2日後の状態です。まだ、食欲はありませんでしたが、目が覚めている時間が増えて歩行や起立時間も少しづつ長くなりました。この症例も手術5日後には退院することができました。

猫の避妊手術

猫の避妊手術は、雌猫の左右の卵巣と子宮を切除する手術です。望まない妊娠を防止することや発情に伴う鳴声などの煩わしさあるいは卵巣や子宮の病気を予防する、あるいは乳腺腫瘍の発生率を下げる目的で行われています。

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手術は開腹して、卵巣と子宮を切除して、閉腹します。当院では、手術当日は入院になり、翌日退院です。ご自宅では、帰宅後エリザベスカラーの着用と内服薬の投薬を行います。

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1週間後に抜糸となります。下の写真は抜糸直前の写真です。

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下の写真は抜糸終了時です。抜糸終了時にエリザベスカラーを外すことができます。

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手術は予約制ですので予めお電話下さい。予約時に手術当日の注意事項等をお伝えいたします。

 

猫の去勢手術

猫の去勢手術は、雄猫の左右の精巣を切除する手術です。雄ねこの発情を抑える、発情に関連した放浪、ケンカ、スプレー尿などの抑制効果を目的に行いますが、全て抑制できる訳ではありません。

通常の雄猫は下の写真の様に左右の精巣を1個づつ確認できます。この場合の去勢手術は、当日に退院でき、抜糸なども必要ありません。自宅では3日間化膿止めのお薬を投薬して頂きます。

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下の写真は、去勢手術終了後の写真です。陰嚢は膨らんでいますが、精巣は切除してあります。

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一方で、割合は少ないのですが、精巣が陰嚢まで下降せずにお腹の中に、あるいは陰嚢に下りる途中で止まってしまっていることがあります(陰睾)。陰睾の場合は、通常の去勢手術と異なり開腹して精巣を見つけて切除する必要があることと、抜糸も必要となり、1~2週間化膿止めの投薬が必要となりますのでお気を付け下さい。