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猫の子宮蓄膿症について

今回は猫の子宮蓄膿症についてのお話しです。猫の子宮蓄膿症は、犬と同様に子宮内に膿が溜まる病気です。病態に違いはないのですが、猫は若齢での発症も多いのではないか?と思いレポートさせて頂きました。 成書には、犬も猫もシニア世代に入る年齢から増加する傾向にあると記載されていますが、猫では1歳前後でも発症することが意外とあると思います。今回も生後1年くらいの猫の子宮蓄膿症を治療したのでレポートさせて頂きました。

この症例は1歳の雌ネコです。既往歴はありません。外陰部からの出血をもとにエコー検査によりすぐに手術になりました。 早期の発見でしたので食欲もありますし、症状も明瞭ではありません。しかし、開腹すると予測通り子宮は腫大していて、その中を確認してみると下の写真の様に膿が貯留しています。

手術の傷口も次の写真の様に通常の避妊手術に比べて少し大きいのですが、手術後の状態はある程度元気でしたので2日入院して退院することになりました。

こんなに元気で若い猫が子宮蓄膿症になるわけがない。とついつい考えがちですが、先入観なく診療することの大切さを痛感させられる症例ですね。

猫の試験的開腹手術

今日は猫の試験的開腹手術です。この処置はあまりないのですが、どうしても判断がつかない時に診断と治療を目的に行います。色々と理由で行われます。現在では医療機器の発達により昔よりこの処置は減っているのではないでしょうか?

次の症例は持続的な嘔吐と下痢、そして体重の著しい減少です。麻酔に耐えられる状態の時に診断と治療を目的に試験的開腹手術を行うことにしました。 試験的開腹なので、上腹部から下腹部まで切開します。開腹後は、順に臓器を確認する作業となります。 この症例では空腸を中心に小腸壁が全域で肥厚していましたので、小腸壁の一部を採材し、他に異常がないか確認して閉腹することになりました。 下の写真は採材しているところです。

採材した組織は病理組織診断を依頼して診断してもらいます。その結果をもとに治療となります。この症例も病理診断をもとに治療を行い、現在では元気に過ごしております。次の動画は手術後の状態です。

 

猫の肛門嚢摘出手術

今回は猫の肛門嚢摘出手術です。飼猫のおしりの横が化膿して破けた経験をお持ちの飼主さんも多いのではないでしょうか?肛門嚢は分泌腺細胞に内張りされ、分泌物を排便とともに排出します。

しかし、飼主さんが気づかない内に閉塞して分泌物が溜まり、炎症などもおきて肛門嚢が破裂してしまうことがあるのです。 この様に肛門嚢破裂を繰返す猫さんは、肛門嚢摘出手術の適応になります。 肛門嚢がなければ分泌物も溜まらないので、肛門嚢の病気が無くなります。もちろん、臭い分泌物も排出されなくなります。

手術は事前に予約・診察して頂き、当日は絶食して来院して頂きます。全身麻酔を施し、肛門周囲の被毛を剃毛します。下の写真は手術前の写真です。m2840001

次の写真が摘出した肛門嚢です。改めて見ると意外に大きいような感じもしますね?m2840015

次の写真が手術終了後の写真です。m2840011

1週間は抗生物質を投薬して頂き、エリザベスカラーを装着して頂きます。抜糸は特になく手術創を確認して終了になります。肛門嚢破裂を起こした経験のあるネコさんの飼主さんは、是非一度ご検討されては如何でしょうか?

猫の股関節脱臼の手術

今回は、猫の股関節脱臼の手術です。 猫で股関節脱臼のみを発症した症例は個人的には少ないと思います。症例は、アメリカン・カールです。普段は、室内飼育ですが、「どうやら外へ逃出してしまい帰宅後から右後肢を引きずる。」という主訴です。身体検査後に、骨盤をレントゲン撮影しました。下の写真で右の股関節(向かって左)が脱臼しているのが解ります。これ以外の異常は認められませんでした。

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次が手術後のレントゲン写真です。手術は、股関節から大腿骨頭が外れないようする作業です。そのため骨盤内には金属が入っています。この手術方法は犬の股関節脱臼の手術と同じです。犬の股関節脱臼もご参照ください。

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本当は入院して安静にしているのが理想ですが、この症例は、気が強く全く触れることが出来なかったので、すぐに退院になりました。ただし、退院してもケージで過ごして頂くのは変わりません。 次の動画は抜糸をした時の状態です。手術創の大きさなどが参考になれば幸いです。

猫の横隔膜ヘルニアの手術

猫の横隔膜ヘルニアは、交通事故など突発的にお腹に圧力がかかり、胸腔と腹腔を分ける横隔膜が破けてしまう疾患です。このため、本来お腹にある肝臓や胃、小腸などが胸腔に移動してしまい、肺が充分に膨らまない状態になります。次の動画は、手術前の状態です。呼吸の回数が早く、お腹だけが動ているように見えます。

次の写真は、この症例にバリウムを投与して30分後に撮影した胸部レントゲン像です。横隔膜ヘルニアであることを確認しました。胸腔に胃や小腸の大部分が入っているので、大きな穴が開いてることが想像できます。M2470005

飼主さんは、「猫がやっとのこと帰ってきて、ずっと寝ている。随分と痩せてしまった。」と言って来院されました。これは、消化管の殆どが胸腔に移動しまったためにお腹がぺちゃんこになり、痩せて見えたのでしょう。 手術は、胸に移動してしまった消化管などの臓器を腹腔に戻した後、破れた横隔膜を縫い合わせる作業となります。結果、胸と腹が分けられます。次の写真が、手術後の胸部レントゲンです。胸腔内には抜気と排液のためのカテーテルが入っています。

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実際、手術ではT字状に横隔膜が破れていて、胸腔に胃・脾臓・小腸・肝臓が入り込んでいました。それら臓器で圧迫されていた左側の肺は、小さいまま退縮して拡張しませんでしたが、下の動画の様に手術3日目には呼吸も楽になり、排液と抜気も無くなりました。胸も軽くなったので上体を起こしていますね。

手術6日後の状態です。胸のカテーテルが取れて、胸郭が広がり安定した呼吸をしているのがわかります。

手術7日目の状態です。抜糸してエリザベスカラーも取れて、普通の猫と変わりませんね。

猫の体表腫瘤切除手術

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今回のテーマは、猫の体表腫瘤切除手術です。私個人の経験では、犬に比べてその発生率は、かなり低い様に思われますが、発生すると悪性傾向が強い印象があります。手術内容は、定法にしたがい、腫瘤周囲から切除する作業になります。 切除した腫瘤は、病理組織診断により良性なのか悪性なのか、しっかり切除できているのか?検査します。

症例は、15歳のオス猫です。初めて気付いたのは2年前で、最近さらに大きくなり、皮膚表面が自壊してきたとの主訴で来院されました。すでに発生部位などは解りませんが、生活の質を考慮して切除することになりました。下の動画の様に、腫瘤は腰から下に、非常に大きいのがわかります。

下の写真が切除した腫瘤です。大きさは20×10×10cmで重さが1.4キログラムもありました。M2100015

次の動画が、手術直後の状態です。年齢も高齢で、麻酔時間も長かったわりに状態が落着いていたので助かりました。食欲と元気も手術3日目より徐々に出るようになりました。

次の動画が、手術5日後の状態です。通常、手術創は1本の線になりますが、今回の様に大きな腫瘤の場合には、手術創が少し複雑になります。

次の動画が約2か月後の動画です。一般健康状態や外貌からも全く問題ありませんが、触診をすると非常に小さいですが、悪性腫瘍の再発と思われる組織が確認されました。

猫の精巣捻転の手術

猫の精巣捻転も珍しい病気だと思われます。元気や食欲が無くなるなどの症状はありません。ただ、捻転している側の精巣が血液のうっ血により正常側の精巣よりも腫大している点が外貌よりわかる変化でした。

これが正常の精巣の写真です。通常の精巣は、左右均等で肌色から淡いピンク色を呈しています。

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次が捻転した精巣の写真です。写真では途中から捻じれているの解ります。捻じれている部分から暗赤色を呈していてます。捻転後の経過時間が長いものは切除するのが良いと思われます。捻転経過が長い症例では、血液のうっ滞により解剖構造が正常と比較して解りにくいので注意が必要です。

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手術後は、特に感染が起きていなければ去勢手術と変わりません。

猫の抜歯とスケーリング

猫の抜歯とスケーリングは、基本的には歯が痛くて食べれない、あるいは歯根膿瘍の時に行なうのが殆どです。処置は、最初にスケーリング処置を行い、歯そのものを評価します。痛みの原因となっている歯や近い将来に抜歯や痛みの原因となるような歯は抜歯をします。歯科処置は、予約していただいた日の午前中に来院していただき、当日あるいは翌日に帰宅します。

この症例は6歳の雄猫で、口腔内からの出血という主訴で来院されました。強い痛みはないのですが、口腔内を観察すると下の写真の様に、歯肉が浮き上がり歯肉が暗赤色に変色して強い歯周炎が残存している臼歯周囲に認められました。M1820004

当院では、歯科処置は全身麻酔下にておこないます。この猫は大人しかったので、血液検査と胸部レントゲン検査を行った後に全身麻酔をかけて歯科処置を行いました。口腔全体を確認した後に、超音波スケーラーにて歯に付着した汚れを取り除きます。この症例では、切歯と犬歯は非常に状態が良いにもかかわらず、臼歯の状態は歯根がすぐに確認できる歯、動揺している歯、既に歯が割れて一部が残っている歯など悪いものばかりでした。よって抜歯することになりました。次の写真が抜歯後です。M1830004

次の動画が歯科処置2時間後の状態です。麻酔覚醒直後は、少し左右に動揺していましたが、暫くすると動画の様に普通ななっています。落着いていましたので、当日退院しました。

猫の骨折整復手術

骨折の時の手術について

猫の骨折は、犬よりも稀ですが、時折認められます。多くは交通事故などの原因が多いのではないでしょうか?骨折部位はプレートとボルトあるいは、ピンにて固定をします。手術後は安静にして骨が癒合するのを待ちます。この時、猫では基本的にはギプスなどで保護しません。

プレート固定手術

次は実際の症例を見てみましょう。骨折の原因は布団の中にいる猫さんを気付かず踏んでしまったことが原因です。来院時には触診にてすぐに骨折しているのが解りました。その時のレントゲン写真です。骨折部位は右大腿骨遠位端で横骨折しているのが解ります。                                 

次の動画は翌日の状態です。やはり元気はありません。患肢を下にしています。

来院から3日目に手術を行いました。下の写真が手術時にプレートとボルトで固定している時の写真です。下に3つボルトを入れる必要があったので、膝の関節包も切開してあります。比較的スムーズに手術は終わりました。

次の動画が手術終了1時間後の動画です。やはりぐったりしていますね。でも、これはぐったりしているのではなく、落着いている状態です。鎮痛薬の効果がしっかり出ていると思われます。

次の動画が手術翌日の動画です。ご飯を出すと勢いよく食べ始めました。そして、手術した右後足も地面につけ始めていますね。先ほどの動画に比べてすごく元気が出ていることがわかります。個人的にはもう少し大人しくしていてほしいのですが・・・。退院がはやくなりそうですね。1週間もすると抜糸をしますので、しばしお待ちください。

手術後5日目に本日抜糸をしました。非常に元気にしております。

早いもので手術後1週間が経過しました。順調に過ごしております。

 

 

 

成長板骨折のためピンで固定したレントゲン写真

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手術後の様子

骨折手術から半年後の写真です。固定していたピンは既に役割を終えて、少し移動しいるのが解ります。何かの折に痛みが出る可能性があるので、次回にピンを抜く予定となりました。

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動画の写真の子が生後1年となり、使用していたピンを抜き、抜糸した時の写真です。こんなに立派になりました。M1750001

 

 

猫の後肢断脚手術

猫の後肢断脚手術は様々なケースで適応となると考えられます。 犬と異なり、悪性腫瘍が足に発生することは少ないと思われますが、その様な時に行なわれます。

当院の猫は,大腿骨の遠位端より化膿して腐っていたため、断脚手術の治療を選びました。この動画の様に後肢断脚手術後も活動性においては影響があまりないのが解ります。ちなみに断脚後7年が経過しています。