犬で認められる色々な誤飲

はじめまして。

はじめまして、獣医の谷村です。これまで当院のホームページでは、「外科レポート」で様々な外科疾患の病気をとりあげてきましたが、この度は新たに「内科レポート」のページを作りました。この内科レポートでは一般的な内科疾患を報告したいと考えています。飼主様のお役に立てるかどうか?はわかりませんが、少しでも理解が深まる様にレポートしようと考えています。宜しくお願いします。

チョコレート中毒

今回のテーマは「チョコレート中毒」です。つまり、誤ってチョコレートを食べてしまった話です。チョコレートの中には「カフェイン」や「テオブロミン」などのメチルキサンチン成分が含まれており、その含有濃度が高いほど中毒症状が現れます。

もちろん、チョコレート摂取量が少なくてもその成分量が多ければ、中毒症状を示すかもしれません。逆に成分量が少なくても摂取量が多ければ中毒症状を示すかもしれません。

この様にチョコレートを食べても、その摂取量により全個体が症状を示すわけではありませんが、その症状が現れた場合には頻脈 呼吸促拍 過興奮 振戦 痙攣 循環障害 中枢神経障害 死亡などの記載がされています。当院でも頻脈や呼吸促拍 興奮 振戦などは認めることがありますが、多くの飼主さんは誤飲直後に来院して催吐処置をすることから、当院では中毒症状を示す症例が少ない理由の一つかもしれません。

治療については、当院では基本的に催吐処置がメインとなります。ただし、中毒症状が出ている場合にはその症状に合わせた治療をすることになります。この対処療法でコントロールできれば1~2日で回復することが多いと言われています。また、内服薬では活性炭がテオブロミンの半減期を短縮する効果があり有効と言われています。

キシリトール

キシリトールの誤飲についてです。当院ではキシリトールの誤飲の件数は多くありませんが、それでも時折問い合わせを頂きます。勿論、誤飲するのは殆どが犬です。キシリトールは甘味料として用いられ、ガムやミント系菓子類などに主に含まれています。

キシリトールの誤飲は生体のインスリン分泌量を増加させ、低血糖を起こす可能性があります。その他に、急性の肝臓障害、低血糖に起因する嗜眠や虚脱、痙攣発作が報告されています。また、少量の摂取でも低血糖や肝障害、死亡等の報告があるようです。

治療は誤飲直後なら催吐処置が行われ、時間経過している場合には血糖値、肝臓関連酵素値を血液検査で調べる必要があります。因みに低血糖は誤飲から1時間以内に認められ、低血糖や肝臓異常を認める場合にはそれに対する対応が必要になります。

 

ネギ、ニラ、ニンニクなどのネギ属植物

ネギ、ニラ、ニンニクの誤飲は最も多いのでないでしょうか?カレー・焼肉、オムライス・ニラレバ炒めと、これまでの色々なメニューにネギやにら、ニンニクが使用された料理を犬が飼主さんが目を離した隙に食べてしまう事が多くあります。犬はケロッとしていますが、飼主さんは慌てて来院されます。因みにニンニクはネギの2-3倍の毒性を示す他に、乾燥フレークや粉末にしても毒性があることが知られています。

ネギ、ニラ、ニンニクに含まれるプロピルジスルフィドなどの硫黄含有化合物が中毒原因物質となります。この物質が赤血球を24時間以内に壊し、72時間でピークに達し、その後に溶血が認められるようになります。ヘモグロビン血症は、2次的に腎臓の尿細管にダメージを与え腎障害を引起こす可能性がありますので要注意です。

症状は初期に嘔吐、下痢、腹痛や食欲低下が認められ、その後は貧血や血尿、腎障害などを認める可能性があります。

治療は、催吐処置や胃洗浄、活性炭の投与。貧血を認めた場合、輸血や輸液が必要になります。因みに特異的な解毒剤はありません。当院では殆どが誤飲直後に来院されるため、実際に輸血などが必要になった症例はいません。

ぶどう

ぶどうの誤飲は、時折認められます。ぶどうの中毒原因物質は不明とされています。ただ、ぶどうを直接たべるのは勿論、レーズンの入ったパン、それらの搾りかすでも犬に腎不全を起こす可能性があります。ただし、ぶどうの誤飲は摂取量に関係なく、中毒症状を示す特徴があります。多量に食べても無症状の個体もいれば、少量だけ食べても腎不全になり致命的になる個体も報告されています。症状は個体の感受性の違いによる所が大きいと考えられます。

ぶどう摂取6時間後から嘔吐 下痢 食欲不振 活動性低下などの症状が認められ、その後に腎機能低下 腎不全 無尿などを確認することになります。ただし、先述した様に全ての個体で症状を示すわけではありません。無症状の個体もいます。

治療は誤飲から時間経過が短い場合には催吐処置が適応されます。当院でも殆どがこのケースになります。ぶどうの誤飲から長時間経過した場合には活性炭の投与も有効と思われます。それと72時間は静脈点滴により腎灌流量を確保し、腎臓の異常の有無を確認する必要があります。

手羽先の骨

最近、多いのが「鳥の手羽先の骨を丸々飲込んだ。」あるいは「犬の口から取り出そうとしたが飲込んでしまった。」という主訴で来院されるケースです。当院では、鳥の骨は鋭いので催吐させる際に、上記に挙げたチョコレートなどの物質に比べて、リスクがあることをご説明しています。さらに、レントゲンでどの様な状態で鳥の骨が胃に存在しているのか?確認します。その状況を飼主さんに説明したうえで催吐処置することになります。次の写真は、犬の胃の中に丸々飲込んだ骨が映っているのがわかります。

マスク、靴下

これは犬の趣向の問題なのか?コロナ終息後もマスクが必須などのケースもあり必然的にマスクを目にする機会が多いためか?時折、来院されることがあります。犬の体格に対して、よほど大きなものではない限りこれらを誤飲したあと直ぐに催吐させた場合には、犬が嘔吐すれば排出されるイメージです。私個人の勝手なイメージですが。

串などの鋭い異物

串などは先端が鋭いため、催吐処置をすると消化管を穿孔してしまう可能性が十分に考えられるため、当院では催吐処置は行っていません。内視鏡などで異物を取除く必要がありますので、そのような医療機器をお持ちの動物病院を受診するようにお伝えしています。

 

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