猫の慢性腎臓病は徐々に腎臓機能が低下する進行性の病気です。腎臓の機能ネフロンの喪失が進行するため、糸球体濾過量の低下が慢性的に起こります。最初は尿量を増やすことで代償的にそれを補いますが、経過時間が長くなるにつれて生体の恒常性を保てなくなり、尿毒症と呼ばれる全身性症状に至ります。
つまり、飼主さんが猫さんを連れて来院するケースは主に以下の3つにわかれますね。①尿量が増えた時点で来院する場合、②食欲がなくなった尿毒症の時点で来院する場合、③健康診断で見つかる場合に分かれますね。③の場合は比較的低いステージでの発見となることが多くあります。
原因は色々と提唱されているが、猫の長寿に関連していることは確かなようです。屋内飼育、ワクチンの普及、良質な食事、獣医学の進歩などの様々な因子が長寿に寄与しているが、その中で慢性腎臓病は進行しているとも言えます。15歳以上の猫は凡そ80%が慢性腎臓病に罹患している報告もあります。
臨床症状は、体重減少や食欲不振、嘔吐・下痢、多飲多尿、抑うつなどの神経症状、貧血などが当院では見受けられます。血液検査では高窒素血症(蛋白質などの窒素代謝物が血液中に蓄積した状態)がステージの上昇に伴い認められ、体内ナトリウムの増加は高血圧となるケースが多いことが知られています。
当院での診断は、身体検査、尿検査、血液検査、画像検査などで総合的に判断しています。治療は、残存している腎機能をできるだけ温存し、その進行を遅らせること。そして、生活の質を維持することです。その為に脱水を補正し、高血圧や貧血などに対応していくことになります。
実際に治療していて、やはりステージの早い段階から治療を開始することで、長く生活の質を保たれる印象を受けます。当然ですが、ステージの遅い時期から治療を開始すれば、食欲も殆どない個体も多く、薬の投薬もできない状況になっています。少しでも食欲が改善して、少しでも質の良い生活を送れるように向き合っています。