肉球の手術

今日は肉球の手術についてのお話です。肉球は地面からのショックを吸収して摩擦に耐えうる最も強靭な組織と言えます。その肉球に腫瘍ができたり、裂傷や病変が存在する場合に肉球の手術が適応になりますが、強靭な組織がゆえ裂傷なども非常に稀であると認識しています。

肉球と言っても前肢には各指の指球と真ん中の大きな掌球、手根球の6個の肉球が存在しています。後肢にも各指の趾球と真ん中の足底球の5個の肉球が存在しています。

今回は肉球の裂傷についてのレポートです。肉球は他の皮膚と同様に縫合しますが、肉球は自身の体重の負荷により適切に縫合しても離開しやすい特徴があります。そのため、適切に縫合しても副子がないと裂開する可能性が高くなるため、副子が必要になります。ただし、ここでまた一つ問題が出てきます。体格が大きく、活動性の高い犬ほど副子を管理するのが大変になってきます。

次の症例はボーダーコリーの7か月で、第三指球を大きく深く裂傷してしまいました。つぎの動画は手術直後の状態です。すでに左前肢にオレンジ色の副子を装着しているのがわかります。

手術後からは1日間隔で副子を外して、患部を確認して消毒し副子を装着する作業を繰返します。一口に副子と言っても観察、消毒、ガーゼ、包帯、アルミ副子 それを覆うベットラップとかなり大変な作業です。次の動画は10日後に状態です。特に変わりませんが、副子にも慣れているのがわかります。

手術後12日目で抜糸を行い、無事に退院されました。骨折ではありませんが、副子で生活することや、それを管理するのはペットにとってもスタッフにとっても大変でした。お大事にして下さい。