猫の鎖肛について

鎖肛について

今回のテーマは「鎖肛」です。あまり聞き慣れない言葉かもしれません。肛門と直腸の連続性を発生過程の中で失った先天的疾患です。しかし、この病気を持つ子は発育過程の中で死に至るため、その発生率は良く解っていません。 鎖肛には肛門膜と直腸の位置関係によりⅠ~Ⅲ型に病型分類されています。

飼主さんは、「排便したいがでていない。」との主訴で来院されます。確かに症例の肛門を認められません。症例は猫で体重は750gくらいでしょうか? 「えっ、そんなに大きくなるの?」とお感じになった方もいるかもしれません。

この症例は、直腸と膣の間に瘻管(トンネル)が形成されていたため、液状の糞便を排泄していたことが推察されます。そのため、ここまで大きくなりましたが、この月齢になると食欲も増し、排便も瘻管から排出される大きさや硬さではなくなった為症状が顕在化したと考えられます。

次の写真は手術直後の写真です。

手術後数日間お預かりして排便と排尿が出るのを確認してから退院となりました。自力で排便コントロールができたので安心しました。因みに、私はこの鎖肛を猫で2度診ましたが、犬では診たことがありません。