雄犬の尿道結石摘出手術

今回は、雄犬の尿道結石摘出手術です。雄の尿道はメスの尿道に比べて細く長いことが知られています。また、その尿道径は細いため、小さな結石により尿道が閉塞してしまう可能性があります。

結石は腎臓や膀胱で形成され膀胱に位置している時は良いのですが、尿道に結石が入ると外尿道口に到達するまでの間に結石が尿道から動かなくなって閉塞を引起します。因みに尿道は出口(外尿道口)に向かうに従い細くなるので、小さい結石は膀胱を出てから遠くで、大きい結石は膀胱の近くで閉塞することになります。

今回の症例は膀胱で形成されていた結石が尿道に入り、遠位で閉塞していました。尿道閉塞を起こしたこの症例は、膀胱に尿が充満した状態で、尿が少しづつですが外尿道口から漏れて出ている状態が数日続いていたとのことでした。次のレントゲン写真は手術前の写真で、陰茎骨の所の尿道に結石が砂利状と玉状に存在して閉塞しているのがわかります。膀胱は前述のとおり膨満しているのがわかります。(前立腺も肥大しています。)

次の写真は術後の状態で、閉塞していた結石が取り除かれているのがわかります。

完全に閉塞してしまうと、老廃物が尿として排出されないので腎不全の状態となってしまいます。下の写真は閉塞した遠位尿道を切開した手術後の状態です。

次の写真が抜糸後の状態です。現在では、普通に生活しているとのことでした。