疼痛管理について

様々な手術が行われていますが、積極的に行われるようになった疼痛緩和療法は、飛躍的に進歩した分野なのではないでしょうか?どんな手術でも痛みを伴う事は想像に難くありません。動物病院でごく当たり前に行われている去勢手術や避妊手術でも、かなりの痛みを伴うに違いないと思います。

動物は痛みを感じると部屋の隅でじっとしていたり、震えたり、食欲が減退して、元気がなくなったりします。他にも色々な症状が知られていて、普段と異なる行動をすることが多いようです。一方で、痛みに対して感受性も個体により様々な印象を受けるのも事実です。

では、手術でペットがあまり痛みを感じないようにするにはどの様にすれば良いのでしょうか?それは、手術前から疼痛緩和を始める事であり、手術中も、さらに手術後もそれを実施することです。なるべく痛みの程度を軽くして、その時間を少なくすることを目的にしています。手術前から始めることで、手術中の痛みを軽減し、全身麻酔の濃度を減らすことが出来ます。手術中・手術後も継続することで、一般生活への回復が早くなることが期待されます。手術で使用する疼痛緩和治療薬は、異なる部位に異なる作用時間で作用することで効果的に鎮痛効果が得られます。

また、疼痛緩和治療薬も良い面ばかりではありません。同時にその副作用を補う薬を用いたり、夫々の個体の健康状態に合った鎮痛薬を使用するのが最善であると考えます。