猫の子宮蓄膿症について

今回は猫の子宮蓄膿症についてのお話しです。猫の子宮蓄膿症は、犬と同様に子宮内に膿が溜まる病気です。つまり、子宮内に膿性物質が貯留する病態です。犬も猫もその病態に違いはないのですが、猫は若齢での発症も多いのではないか?と思いレポートさせて頂きました。 成書には、犬も猫もシニア世代に入る年齢から増加する傾向にあると記載されていますが、猫では1歳前後でも発症することが意外とあると思います。今回も生後1年くらいの猫の子宮蓄膿症を治療したのでレポートさせて頂きました。

この症例は1歳の雌ネコです。既往歴はありません。外陰部からの出血痕を認めた為、下腹部のエコー検査によりすぐに典型的な子宮像を示したため手術になりました。 早期の発見でしたので食欲もありますし、症状も明瞭ではありません。しかし、開腹すると予測通り子宮は腫大していて、その中を確認してみると下の写真の様に膿が貯留しています。

猫では、子宮蓄膿症と共に同じくらいの頻度で子宮水腫が認められることも多くあります。その症状は認められないことが殆んどで、避妊手術の際に開腹したら気付く機会もあります。いづれの疾患もその手技は同じですが、手術の傷口は次の写真の様に通常の避妊手術に比べて少し大きくなります。手術後の状態により入院日数が決まります。

元気で若い猫が子宮蓄膿症になるわけがない。とついつい考えがちですが、先入観なく診療することの大切さを痛感させられる症例ですね。因みに子宮内に無菌性の液体が貯留することを子宮水症あるいは子宮水腫と呼ばれています。避妊手術を依頼されて、回復したら子宮水腫であったことは何度か経験しています。子宮水腫の場合、意外と食欲も元気もある事が多く、飼主さんも気づかないことが殆どです。次の写真は左が通常の卵巣と子宮で、右が子宮水腫の状態です。