最近、猫の角膜潰瘍が破れて、眼球内の虹彩が外に飛び出して数日経過してから来院するケースを目にします。本来は最も外側にある角膜が破けないように外用薬などを使用したり、外科的に眼瞼縫合や瞬膜や結膜を使用して角膜を保護し再生するように治療します。
眼球摘出手術の適応を見てみると、眼内腫瘍、全眼球炎、慢性期の緑内障、整復困難な眼球脱出、眼球破裂などが挙げられています。話を戻すと角膜が破れて虹彩が脱出した猫はかなり痛みを伴うようで、飼主さんは痛みを取ってほしいと希望されます。その為、術前から疼痛緩和を行いながら麻酔処置をします。勿論、術中や術後も疼痛管理が必要です。また、眼球手術の中でも出血量が多い部類に入るそうです。止血の準備や止血異常の有無なども確認が必要でしょう。
大きな貫通潰瘍で虹彩が大きく脱出し数日経過している場合は、全眼球炎になっていることが殆どではないでしょうか?全眼球炎になっていなければ、眼科専門医であれば他の手術方法があると記載されています。この症例は眼球は大きくなり、さらに眼球前眼房内は混濁していました。この場合は、眼球摘出術を選択することで、1.痛みをすぐに止めることができる。2.回復期がない。などのメリットがあるようです。次の写真は抜糸時の時の状態です。痛みはなく、元気もあるとのことでした。