モルモットの体表腫瘤切除手術

今回は、モルモットの体表腫瘤切除手術の話です。モルモットも他のペットと同様に平均寿命が延びて腫瘍の発生率も増加しているものと思われます。体表にできた腫瘍は、体内に出来た腫瘍に比べて飼主さんが触れるので、その存在に気付きやすいと思います。

今回の症例も腫瘍の大きさはゴルフボール大になりその表面が潰瘍を呈していました。生活の質を考慮して、全身麻酔下にて切除することになりました。当院ではモルモットに全身麻酔はマスクにて行っていますので、今回の症例のように鼻や口周囲にある腫瘤は切除しにくい傾向にあります。

下の写真は手術終了時の写真です。まだ、モルモットさんは完全に覚醒しておらずぼーっとした状態です。

次の動画が手術終了2時間後の状態です。この時点では、すでに好きな野菜を食べていました。

次の動画が手術1週間後の状態です。手術創は綺麗に縫合されています。以前より元気が良いように見えました。この状態を確認して治療は終了しました。

猫の子宮蓄膿症について

今回は猫の子宮蓄膿症についてのお話しです。猫の子宮蓄膿症は、犬と同様に子宮内に膿が溜まる病気です。つまり、子宮内に膿性物質が貯留する病態です。犬も猫もその病態に違いはないのですが、猫は若齢での発症も多いのではないか?と思いレポートさせて頂きました。 成書には、犬も猫もシニア世代に入る年齢から増加する傾向にあると記載されていますが、猫では1歳前後でも発症することが意外とあると思います。今回も生後1年くらいの猫の子宮蓄膿症を治療したのでレポートさせて頂きました。

この症例は1歳の雌ネコです。既往歴はありません。外陰部からの出血痕を認めた為、下腹部のエコー検査によりすぐに典型的な子宮像を示したため手術になりました。 早期の発見でしたので食欲もありますし、症状も明瞭ではありません。しかし、開腹すると予測通り子宮は腫大していて、その中を確認してみると下の写真の様に膿が貯留しています。

猫では、子宮蓄膿症と共に同じくらいの頻度で子宮水腫が認められることも多くあります。その症状は認められないことが殆んどで、避妊手術の際に開腹したら気付く機会もあります。いづれの疾患もその手技は同じですが、手術の傷口は次の写真の様に通常の避妊手術に比べて少し大きくなります。手術後の状態により入院日数が決まります。

元気で若い猫が子宮蓄膿症になるわけがない。とついつい考えがちですが、先入観なく診療することの大切さを痛感させられる症例ですね。因みに子宮内に無菌性の液体が貯留することを子宮水症あるいは子宮水腫と呼ばれています。避妊手術を依頼されて、回復したら子宮水腫であったことは何度か経験しています。子宮水腫の場合、意外と食欲も元気もある事が多く、飼主さんも気づかないことが殆どです。次の写真は左が通常の卵巣と子宮で、右が子宮水腫の状態です。

高齢動物の麻酔について

一般的な外科処置をするときにどうしても切り離せないのが全身麻酔が心配の種になることが多いと思われます。当院では、全身麻酔をする前には基本的に血液検査と胸部レントゲン検査を行っています。尿検査やエコー検査なども症例によっては追加することもあります。 その一方でペットが暴れて検査できない場合や費用的な面で検査をしないで麻酔をせざるおえないケースもあることも事実です。

今回は16歳の老犬の歯科処置をする機会を頂いたのでご紹介したいと思います。主訴は左下眼瞼の排膿です。膿は臼歯の歯根膿瘍が原因と思われます。身体検査では心雑音と腰が曲がり、首が少し上げにくいなどの症状を認めました。 皆さんがこの子の飼主さんでしたら全身麻酔をかけて歯科処置をしますか? 少し気が引けてしまいそうですよね。私も患者の立場なら同じです。

しかし、このまま抗生物質を投薬し続けて、この状態で終えるのも気が滅入ります。なので、血液検査と胸部レントゲン検査をして重大な問題がなければ、歯科処置をすることに決まりました。麻酔をする飼主さん全員に説明することですが、それでも絶対の安全を保障するものではないと説明を加えさせて頂きました。次の写真が歯科処置前の写真です。

次の写真も歯科処置前の写真です。歯石が歯を覆っていますね。

次が歯科処置中の写真です。上顎の犬歯と臼歯は抜歯してある状態です。

歯科処置の翌日には次の動画のようにしっかり食事をしていますね。

次の写真が歯科処置、1週間後の写真です。目元は綺麗になって、歯科処置をして大変よかったと思いました。高齢動物への全身麻酔はリスクもありますが、心配し過ぎて処置しない選択肢と同じくらい安全性を確認したうえで行う処置も大切だと考えています。

猫の試験的開腹手術

今日は猫の試験的開腹手術です。この処置はあまりないのですが、どうしても判断がつかない時に診断と治療を目的に行います。色々と理由で行われます。現在では医療機器の発達により昔よりこの処置は減っているのではないでしょうか?

次の症例は持続的な嘔吐と下痢、そして体重の著しい減少です。麻酔に耐えられる状態の時に診断と治療を目的に試験的開腹手術を行うことにしました。 試験的開腹なので、上腹部から下腹部まで切開します。開腹後は、順に臓器を確認する作業となります。 この症例では空腸を中心に小腸壁が全域で肥厚していましたので、小腸壁の一部を採材し、他に異常がないか確認して閉腹することになりました。 下の写真は採材しているところです。

採材した組織は病理組織診断を依頼して診断してもらいます。その結果をもとに治療となります。この症例も病理診断をもとに治療を行い、現在では元気に過ごしております。次の動画は手術後の状態です。

 

眼瞼縫合

眼瞼縫合

眼瞼縫合は意外と機会の多い処置です。その多くが犬同士のケンカなどで眼球が亜脱臼した場合やバグやフレンチブルドックなどの短頭種が角膜潰瘍を起こした場合などに行われます。特に前者の外傷性の眼球突出を起こした場合には、来院してすぐに処置に移ることになります。内眼瞼側をすこし開けて、上眼瞼と下眼瞼を縫い合わせる処置になります。この時用いる縫合糸はすごく細いものになります。処置終了後には、エリザベスカラーを着用します。

外傷性眼球突出

先ほども述べたように犬同士のケンカにより眼球吐出する症例が殆どです。頭部の外傷や咬傷により眼球が眼窩から突出してしまう事が多く見受けられます。脱臼した角膜は乾燥し始めます。角膜の長時間の露出は角膜にも眼球にもダメージを与えます。眼球の奥では出血や浮腫が起こるため、中々眼窩内に納まらなくなります。

次の症例はチワワの14歳です。眼球突出時は角膜が乾燥し、上眼瞼は内出血を起こし結膜と強膜は重度に充血し、眼球内も出血を認め瞳孔も縮瞳していました。あまりにも眼球突出していた為、眼球を元の位置まで戻すのが大変でした。眼瞼縫合をしましたが、それでも5箇所のみの縫合するのが限界でした。次の写真は眼瞼縫合から2週間後の状態です。少し縫合が切れているのが解ります。

同日に抜糸をして眼瞼周囲の内出血は消失していました。外斜視などは残るものの普段の生活には支障がないようです。次の動画が眼瞼縫合の抜糸をした時の状態です。

自宅では隙間のある内眼瞼に点眼してもらい、それと内服薬を投薬して頂いています。 この処置は眼瞼を閉鎖するため眼球がほぼ外から見えなくなりますので時折、来院して頂いて眼の状態を確認する必要があります。10日から2週間後に抜糸をして眼瞼を開くことになります。

下の症例は角膜に潰瘍が出来てしまったため、眼瞼縫合を行いました。次の写真は眼瞼縫合を終えた直後の眼の状態です。解りにくいですが、内眼瞼が少し開いていますね。ここから点眼薬を投薬します。飼主さんも慣れるまで時間がかかるかもしれませんね。

ウサギの膀胱結石摘出手術

こんにちは、今回はウサギの膀胱結石です。ウサギの尿の中には、カルシウム系結晶が正常でも存在しており、スムーズに排尿されています。しかし、結晶が結石へと大きくなり排出されない場合には血尿や頻尿、排尿姿勢の持続などの症状が現れ問題となります。

今回の症例は、3歳のメスのウサギです。主訴は、「血尿が止まらない。」とのことでした。確かに、排尿の意思とは無関係に血尿が垂れています。レントゲン写真で膀胱内に結石を認めました。

ここまで結石が大きくなると自然排出される困難で、症状が持続していることから開腹して膀胱結石を摘出することになりました。手術前の血液検査を行い、静脈点滴をして手術になりました。下の写真が実際の結石です。

手術はスムーズに終了したのですが、手術後の血液検査で腎臓の機能が低下していることが解り、暫く点滴を続けました。翌日には腎臓の機能も戻り、次の動画の様に食事をとるようになりました。

今後は、食事面などを含め改善と注意が必要でしょう。

犬の肛門嚢摘出手術

折角なので、犬の肛門嚢摘出手術についてもお話ししておきます。犬の肛門嚢摘出手術の適応は、猫と同じように肛門嚢炎や肛門嚢破裂を繰返す犬や動物病院やトリミング施設に肛門嚢から分泌物を人為的に排出させている犬などです。

肛門嚢を排出させる手間や時間などを考慮すると、摘出すれば肛門嚢はなくなり分泌物の悪臭やお尻を擦り付けるなどの行動も無くなります。

手術の内容や方法は猫と全く同じです。下の写真は、手術終了時の写真です。一度是非ご検討をしてみては如何でしょうか?

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猫の肛門嚢摘出手術

今回は猫の肛門嚢摘出手術です。飼猫のおしりの横が化膿して破けた経験をお持ちの飼主さんも多いのではないでしょうか?肛門嚢は分泌腺細胞に内張りされ、分泌物を排便とともに排出します。

しかし、飼主さんが気づかない内に閉塞して分泌物が溜まり、炎症などもおきて肛門嚢が破裂してしまうことがあるのです。 この様に肛門嚢破裂を繰返す猫さんは、肛門嚢摘出手術の適応になります。 肛門嚢がなければ分泌物も溜まらないので、肛門嚢の病気が無くなります。もちろん、臭い分泌物も排出されなくなります。

手術は事前に予約・診察して頂き、当日は絶食して来院して頂きます。全身麻酔を施し、肛門周囲の被毛を剃毛します。下の写真は手術前の写真です。m2840001

次の写真が摘出した肛門嚢です。改めて見ると意外に大きいような感じもしますね?m2840015

次の写真が手術終了後の写真です。m2840011

1週間は抗生物質を投薬して頂き、エリザベスカラーを装着して頂きます。抜糸は特になく手術創を確認して終了になります。肛門嚢破裂を起こした経験のあるネコさんの飼主さんは、是非一度ご検討されては如何でしょうか?

耳血腫の手術

今回は、耳血腫のお話しです。文字通り耳の中に血が溜まってしまう病気です。耳の中の血管が破れてしまうために血が溜まった状態で、耳を掻くなどの物理的衝撃により起こることが知られています。他にも外耳炎、免疫や過敏症などが関連しています。頭部を振ることで耳介軟骨の骨折を引起し、耳血腫は軟骨内を走行する大耳介動脈分岐による出血に由来する。下の写真は、耳血腫を患った耳で,出血により膨らんでいて、耳介の凹面全体が血腫になっているのがわかります。また、一部分だけに発生することもあります。

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次の写真は同部から針にて吸引した血液です。20ccくらいあります。この様に血腫を吸引することで消失するが、直ぐに再発してしまい、長期間の繰返しの作業が必要となってしまう事が殆どです。

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耳血腫の手術のメリットは、術後から血が溜まらないので煩わしさから早期に解放されることです。大まかな手術内容は血腫部位の皮膚にS状切開を施し、切開周囲の皮膚と軟骨を縫合します。当院では、1週間後に抜糸をして2週間後にはエリザベスカラーを外します。来院回数が少なくて済むこと、フィブリンや血餅なども取除くため、比較的耳の厚みが薄いことも長所です。 デメリットは、全身麻酔を必要とすること、起立していた耳が倒れてしまうことがあることです。 次の動画が手術翌日の退院時の様子です。

次の写真が手術1週間後の抜糸の際の写真です。耳の厚さが薄いのが解ります。さらに、その時の動画を載せます。患側の耳は薄く、快適に過ごしていましたが、飼主さん的には立派な起立していた耳が倒れてしまったことを少し残念がっていました。しかし、これで治療は終了になります。

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犬の断指術

今回は、指の切断術です。この手術は、指の先がj感染症を起こすなどして骨髄炎に波及したり、あるいは重度の外傷の治療を目的に行われます。また、大型犬などでは、指に腫瘍が発生することが知られていて、この適応となります。しかし、実際の臨床の現場では小型犬でも指先に腫瘍が多く発生してる感も否めません。次の症例はビションフリーゼで左前脚の指の末節付近に腫瘍ができました。その為、外科手術を行いました。次の動画は手術翌日の状態です。跛行を呈することなく、元気にしているのは嬉しい事ですね。

次の症例は凡そ10歳のミニチュアダックスフンドです。後肢の指の側面にできた腫瘍です。抗生物質を投薬していたが、どんどん大きくなってきた為、腫瘍切除を希望し来院されました。腫瘍の大きくなるスピードが速いため、直ぐに切除することになりました。次の写真が切除前の状態です。第3指の側面にできた腫瘍は第4指を外側に押し出しているのがわかります。

定法どおり、レントゲンにて胸部に転移像がないか?あるいは心臓肥大はないか?患部の指の骨に転移している像はないか?など一通り検査します。他にも血液検査などを行い、麻酔中や麻酔後に異常が起こる可能性は低いか?高いか?などを調べます。比較的異常がない事を確認して手術となります。次の写真が切除して抜糸後の写真です。第3指の基節骨以下から切除しています。

切除後は、足を持上げる素振りも見せませんでした。痛くないわけではありませんが、犬は体重の70%を前肢で支えていることもあり、後肢は前肢の断指術よりも影響は少ないのかもしれません。現在では毛も揃い、通常の生活をしています。

次の症例を見てみましょう。症例は、10歳メスのセッターです。主訴は、「1か月前に猫を追っかけた際に、指を切った後に化膿して治らない。」とのことでした。患部を診ると、著しく第四指が肥厚して化膿しているのが解ります。 M2620001

患部をレントゲン撮影してみると、基節骨の近位端から末節骨まで確認できず、さらに基節骨の近位端は骨髄炎を起していました。よって指の切断手術をすることになりました。ただし、大型犬のため腫瘍なども考慮して、種子骨や関節包もなるべく取除き、切除した組織を病理組織診断を依頼しました。著しく肥厚した指の切除は、肉球辺縁での縫合になり、皮膚に余裕はありませんでした。

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次が手術翌日の状態です。1日中殆ど足を挙上していました。犬は、体重の7割を前肢で支えて、その負重は主に第3指と第4指にかかることが知られています。。今回は、第4指の切除なので心配な面もありました。

しかし、経過を追うごとに徐々に負重し始めました。 次の動画が抜糸をした術後7日後の歩行状態です。殆ど左右の差がないくらいにしっかり歩行しているのが解ります。

指の腫瘍

今回の症例は14歳のビーグル犬です。4カ月前から指が徐々に大きくなっていることに気付いていましたが、食欲も元気もあることから様子を見ていたようです。来院時には、指はかなり腫大して隣の指も少し腫大しているような状態でした。血液検査では、著しい変化はありませんでしたが、触診で膝下リンパ節が腫大していました。

手術は膝下リンパ節を切除することと、腫瘍を切除することを目的に行いました。腫瘍の切除はかなり大きく切除したため、表皮がすべて覆うことはできませんでした。次の動画が術後10日目の状態です。皮膚の欠損部分もありますが、順調に表皮が覆われて順調です。

切除後は、定法通り切除した腫瘍とリンパ節を病理検査に提出して、しっかり切除できているのか?リンパ節に転移していないか?診断は何なのか?を調べます。様々な条件をもとに手術後も抗癌剤が必要な場合には継続して行うことも必要かもしれません。