膀胱結石摘出手術

膀胱結石は、文字通り膀胱内で結石が形成される病気です。結石も顕微鏡で確認されるくらいの結晶から始まり、徐々に大きくなります。大きくなった結石はやがて、尿道を閉塞してしまう結果となることも少なくありません。また、尿道は雌犬より雄犬の方が細いため、雄犬の場合には小さな結石でも尿道を閉塞する危険性があります。排尿が出来なくなった場合には、膀胱結石摘出手術になります。症状は、頻尿、血尿、排尿困難などが一般的です。

次の症例は「尿意はあるが、排尿できない。」と来院された9歳の雄犬です。触診すると下腹部が張って硬くなっています。排尿できないために大きくなった膀胱と思われます。レントゲン撮影すると膀胱と尿道に結石があるのが解ります。 尿道の結石は恐らく精巣の上あたりにあると思われます。結果的には全く排尿できないため、すぐに手術をする必要があります。

次の症例は、2歳の雌犬です。最近、血尿が続くという主訴で治療をしていましたが、血尿が続くためレントゲン写真を撮ってみると、下の写真の様に比較的大きな結石が下腹部に写っていました。M1630002

この結石が本当に膀胱なかに存在するのか?エコーにて確認しました。

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症状、レントゲン写真、エコー検査といずれも膀胱結石の可能性が高いので全身麻酔にて膀胱結石を摘出することとなりました。因みにこの犬の一般状態や血液検査等に異常は認められませんでした。ただ、血尿が止まらないということでした。下の写真のように元気です。

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これがレントゲン写真に映っていた膀胱結石です。

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まだ、2歳だからこんなに大きな結石は出来ていることは予想外でしたが、はっきりと血尿の原因がわかり、それを取除くことができました。ただし、膀胱結石は、犬の体質と食事に関係していることが多いので、今後も定期的な尿検査と食事管理が必要になるかもしれません。

 

雌犬の膀胱結石が写っている下腹部のレントゲン写真です。この症例は9歳くらいですが実は3~4年前にも排尿困難で膀胱結石摘出手術をしています。再発の膀胱結石です。棒で指したところに、結石が4個あります。

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下の写真が実際の膀胱結石です。手術は、膀胱を開けて結石を取り除く作業となります。因みに膀胱結石の種類はいくつか知られ、下の結石はストルバイトという種類でした。

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