猫の去勢手術は、雄猫の左右の精巣を切除する手術です。雄ねこの発情を抑える、発情に関連した放浪、ケンカ、スプレー尿などの抑制効果を目的に行いますが、全て抑制できる訳ではありません。下の写真のように左右に丸く膨らんだ精巣があるのが、何となくわかります。この中には精巣が一つずつあるのでこれを切皮してとることになります。
手術前検査
手術前には必ず身体検査をします。身体検査に加えて血液検査、レントゲン検査、尿検査、エコー検査などをすることもあります。これらの検査項目は、身体検査で隠れている異常を検出するために行います。猫の去勢手術は時間的には30分前後で終了しますが、それでも絶対に安全な全身麻酔はありません。何か重大な疾患が隠れている可能性もありますので、可能な限りこれらの追加検査をしてから手術に望むことをお勧めします。ただし、最終的にこれを決定するのは飼主様になりますのでご検討ください。
下の写真は、去勢手術終了後の写真です。陰嚢は膨らんでいますが、精巣は切除してあります。
陰睾
一方で、割合は少ないのですが、時折見られるのが陰睾です。陰睾とは精巣が陰嚢まで下降せずにお腹の中に、あるいは陰嚢に下りる途中で止まってしまっていることがあります(陰睾)。
陰睾の去勢手術では、通常の去勢手術と異なり開腹したり、鼠経管から陰嚢まで下降する間で精巣を見つけて切除する必要があります。そのため、通常の去勢手術は上の写真の様に陰嚢に小さな切開のみなりますが、先ほどの説明の様に隠れた精巣を探すため下腹部に少し長めの切開を加えることになります。
皮膚切開の延長は、抜糸を必要として、1週間化膿止めの投薬が必要となることも通常の去勢手術と異なりますのでお気を付け下さい。なお、精巣が2つ陰嚢にあるのか?ないのか?がわからない場合は猫ちゃんと一緒に診察時間内にご来院下さい。
手術後について
陰睾の手術を除き、当院では手術当日に退院できます。抜糸なども必要ありませんが、退院時にはエリザベスカラーを装着して頂きます。3日後に再度来院して頂き、傷口に異常がない事を確認してエリザベスカラーを外して終了となります。自宅では3日間化膿止めのお薬を投薬して頂きます。