猫の異物摂取は、比較的よく認められる疾患です。私の今までの経験では、猫じゃらしの様なおもちゃ、紐、ゴムの塊、耳栓などが原因となって消化管を閉塞していました。 症状は、食欲不振と嘔吐、下痢などです。検査はレントゲン検査、エコー検査で確認した後に開腹手術となります。
先日、猫が「元気なく、嘔吐をするようになった。」という主訴で来院されました。飼主さんの話では「普段から紐のようなものに興味があり、誤飲する傾向があるとのことでした。」しかし、今回は誤飲した様子もないとのことでした。しかし、身体検査や血液検査、造影検査、超音波検査等を実施しました。結果は閉塞している可能性が高いため、開腹手術をすることになりました。
麻酔処置すると、細い糸が舌の根元にひっかかり、空腸まで達していました。とりわけ十二指腸領域は糸を中心に強いテンションがかかっており、十二指腸の後半から空・回腸の途中まで色調は暗赤色に変色していました。その領域をよく見ると、数か所で腸が裂開しているのが確認されました。これは恐らく糸によるテンションで腸が擦れて裂開したものと推察されました。
結局、腸が変色し、複数裂開していた領域(およそ20cm)を切除しました。これが、糸状物を誤飲した危険性であることを改めて思い知らされました。これまでの数少ない私の経験では、糸状物により腸閉塞を起こしても、腸が複数個所で裂開していた経験はありませんでした。次の動画は術後3週間の様子です。
下の写真は、猫の消化管造影検査のレントゲン写真です。直腸に造影剤が到達しているにも関わらず、造影剤の大半は胃内に残っており、十二指腸の開始部から造影剤が流れが悪くなっているのが解ります。
お腹を開けてみると、やはり十二指腸の途中で猫じゃらしのおもちゃが詰まっていました。退院は手術4~5日後が殆んどです。異物摂取をする子は繰返すことが多いので注意が必要です。
次に実際の症例を見てみましょう。症例は、1歳の避妊メスのフォレスト・ジャン・ノルウェーキャットです。やはり、嘔吐と食欲、元気消失で来院されました。身体検査、レントゲン検査、血液検査、超音波検査にて異物摂取を疑い、開腹手術することなりました。 下の動画は、手術前の点滴をしている時の様子です。何だか元気が全くないのが解ります。
お腹を開けると、小腸から太い紐がでてきました。
次の動画が手術翌日の様子です。手術前とは随分と異なり、機嫌もすこぶる良好なのが伝わってきます。
手術数日後から消化の良いごはんを少しづつ初めてきます。大変食欲が出てきているのがわかります。
