作成者別アーカイブ: 谷村院長

犬の避妊手術

犬の避妊手術は、子宮と卵巣の病気、乳腺腫瘍の予防、発情出血などの煩わしさの予防、などを目的に行われます。手術内容は、開腹して卵巣と子宮を切除して取除き、閉腹する作業です。

基本的に手術当日の午前中に来院して頂きます。手術前・手術中・手術後は下の写真のように静脈点滴を行います。

HP  DS 術後点滴

下の写真は手術創です。大きさは、症例によって異なります。

HP DS 術創

手術後の経過は、下の写真のような感じです。当日は、入院して翌日に退院します。

HP DS 手術3時間後

 

 

次の動画が退院時の様子です。この症例は、4歳のトイプードルです。この症例の様に元気に振る舞いますが、退院しても無理しないで下さい。ご自宅では、慣れない入院などの疲れもあり、ぐったり寝ていることが多いとお聞きします。

帰宅後、6日間化膿止めを投薬して1週間後抜糸します。それまでは、エリザベスカラーを装着しています。次の動画が抜糸直後のエリザベスカラーを外した様子です。本来の元気が出ているように思えます。

手術は予約制ですので必ず事前に電話にて受付をしてください。

犬の去勢手術

犬の去勢手術は、左右の精巣を除去する手術です。一般的には、若齢犬では排尿などのしつけの問題を目的に、シニア犬では精巣ホルモンに関連した病気の治療や予防のためなどに行われます。  基本的に、手術当日は入院し翌日に退院します。下の写真は、去勢手術前の写真です。

M2170003

次の写真は、去勢直後の写真です。精巣は除去してありますが、まだ膨らみがあります。

M2170005

ご自宅では3日間エリザベスカラーを装着して、化膿止めの投薬を行います。抜糸は必要ないので4日目にエリザベスカラーを外して終了です。下の動画は、手術終了直後の状態です。少し、左右へふら付いているのが解ります。

去勢手術を希望される方は、電話予約にて受付いたします。

猫の乳腺腫瘍

猫の乳腺腫瘍は、基本的に手術になります。乳腺腫瘍は、乳腺組織が腫瘍化したことで小豆くらいに大きくなると触れます。猫の乳腺腫瘍は、悪性の可能性が高いことが知られていて、乳腺付近にできた腫瘤は摘出して病理診断することが大切です。治療は外科手術と術後の抗がん剤治療が必要です。 予防は生後3回までの発情に避妊手術をすることで乳腺腫瘍の発生率を下げることができます。

次の症例は9歳のメス猫で避妊手術はしていません。最近、急速に腫瘤が大きくなってきたとの主訴で来院されました。この猫さんは飼主さんも触れることは大変で麻酔をかけて初めて確認できたのが次の写真です。かなり大きくなっているのがわかります。

やはり、発生部位を考慮してすぐに手術することになりました。次が手術直後の写真です。

手術の時には、明らかな胸の転移巣は確認できませんでしたが、十分注意が必要です。また、本来なら外科手術後の抗癌治療を選択するところですが、ペットの性質上難しいと思われる症例でした。ただし、現在も食欲はあり元気もいっぱいです。

 

下の写真は、乳腺腫瘍切除1か月後の猫の腹部写真です。この症例は第3~4乳腺間に小豆大の腫瘤ができました。場所を考慮すると、乳腺腫瘍の可能性が高く、第3と第4乳腺と大きく切除しました。やはり、病理診断の結果、この腫瘤は乳腺癌(悪性)でした。当院では、悪性の場合には、手術後に抗癌治療をお勧めしています。

M1160002

ちなみに、乳腺腫瘍の発生率を下げるには、なるべく発情が始まる若い時に避妊手術(外科・猫・避妊手術のページをご覧ください。)を行うことが重要です。乳腺腫瘍摘出手術は、切除する大きさにもよりますが、最低当日は入院して、落着いたら帰宅します。ご自宅では、エリザベスカラーの装着と内服薬を6~12日間投薬して頂きます。抜糸はケースにもよりますが、1週間前後となります。

このできものは?と不安になった場合には診察にご来院下さい。

 

 

 

猫の避妊手術

猫の避妊手術は、雌猫の左右の卵巣と子宮を切除する手術です。望まない妊娠を防止することや発情に伴う鳴声などの煩わしさあるいは卵巣や子宮の病気を予防する、あるいは乳腺腫瘍の発生率を下げる目的で行われています。 また、猫が発情している時は、子宮が太くなり、血管も拡張しています。そのため、避妊手術を行う際には安全上の理由で発情期を避けて予約を入れて頂くと良いでしょう。

術前検査について

手術前には身体検査は必ず行いますが、血液検査やレントゲン検査、エコー検査や尿検査は症例ごとの性格と飼主の希望、身体検査結果などより総合的に判断して決めています。やはり、見知らない場所や人に接することで怖がりパニックになる猫も少なくありません。しかし、これら術前検査はより安全に全身麻酔を実施するうえで必要なことですので、実施できるならば行った方が良い事は言うまでもありません。出来るならば術前検査を実施することをお勧めします。

M1230004

手術は開腹して、卵巣と子宮を切除して、閉腹します。当院では、手術当日は入院になり、翌日退院です。ご自宅では、帰宅後エリザベスカラーの着用と内服薬の投薬を行います。

M1230011

1週間後に抜糸となります。下の写真は抜糸直前の写真です。

M1260005

下の写真は抜糸終了時です。抜糸終了時にエリザベスカラーを外すことができます。

M1260008

手術は予約制ですので予めお電話下さい。予約時に手術当日の注意事項等をお伝えいたします。

帰宅後のケアについて

最近、手術の際に手術後服やエリザベスカラーを用意して来院される飼主様が多くいらっしゃいます。私どもは手術後に2番目の写真のように顔にエリザベスカラーを付け、お腹には腹帯を巻いた状態で退院して頂いております。その為、事前に飼主様に術後服などを用意して頂く必要はありませんし、このエリザベスカラーと腹帯のセットで問題が起きたことはありませんので心配はありません。

また、退院後は化膿止めの内服薬を1日2回で投薬して頂いております。錠剤や粉薬を用意してますので飼主様と愛猫に合う剤型を選んで投薬して頂くことになります。また、猫においては抗生物質を投薬すると軟便や下痢を誘発することがあります。その場合は、内服薬の投薬を止めて病院にご連絡頂くようお願いします。

当院で抜糸が終わるまで、エリザベスカラーと腹帯は絶対に取らないで下さい。抜糸が終了してエリザベスカラーを外して終了になります。

 

猫の去勢手術

猫の去勢手術は、雄猫の左右の精巣を切除する手術です。雄ねこの発情を抑える、発情に関連した放浪、ケンカ、スプレー尿などの抑制効果を目的に行いますが、全て抑制できる訳ではありません。下の写真のように左右に丸く膨らんだ精巣があるのが、何となくわかります。この中には精巣が一つずつあるのでこれを切皮してとることになります。

手術前検査

手術前には必ず身体検査をします。身体検査に加えて血液検査、レントゲン検査、尿検査、エコー検査などをすることもあります。これらの検査項目は、身体検査で隠れている異常を検出するために行います。猫の去勢手術は時間的には30分前後で終了しますが、それでも絶対に安全な全身麻酔はありません。何か重大な疾患が隠れている可能性もありますので、可能な限りこれらの追加検査をしてから手術に望むことをお勧めします。ただし、最終的にこれを決定するのは飼主様になりますのでご検討ください。

IMGP3391

下の写真は、去勢手術終了後の写真です。陰嚢は膨らんでいますが、精巣は切除してあります。

IMGP3393

陰睾

一方で、割合は少ないのですが、時折見られるのが陰睾です。陰睾とは精巣が陰嚢まで下降せずにお腹の中に、あるいは陰嚢に下りる途中で止まってしまっていることがあります(陰睾)。

陰睾の去勢手術では、通常の去勢手術と異なり開腹したり、鼠経管から陰嚢まで下降する間で精巣を見つけて切除する必要があります。そのため、通常の去勢手術は上の写真の様に陰嚢に小さな切開のみなりますが、先ほどの説明の様に隠れた精巣を探すため下腹部に少し長めの切開を加えることになります。

皮膚切開の延長は、抜糸を必要として、1週間化膿止めの投薬が必要となることも通常の去勢手術と異なりますのでお気を付け下さい。なお、精巣が2つ陰嚢にあるのか?ないのか?がわからない場合は猫ちゃんと一緒に診察時間内にご来院下さい。

手術後について

陰睾の手術を除き、当院では手術当日に退院できます。抜糸なども必要ありませんが、退院時にはエリザベスカラーを装着して頂きます。3日後に再度来院して頂き、傷口に異常がない事を確認してエリザベスカラーを外して終了となります。自宅では3日間化膿止めのお薬を投薬して頂きます。