作成者別アーカイブ: 谷村院長

犬の股関節脱臼

犬の股関節脱臼は、交通事故などの外的圧力により脱臼することが多いのですが、最近では、ただじゃれていて、あるいは抱っこして落としてといった原因が多くなってきました。後者の場合は、多くが小型犬種です。当院では、特にトイプードルや柴犬で多いように見られます。脱臼した犬は、痛がり後足を挙げたままの状態となり、病院に来院されます。当院での治療は手術になります。手術では股関節が再脱臼しないように固定します。

下の写真は手術前の写真です。右側の大腿骨の骨頭と骨盤側の寛骨臼に注目すると(写真左側)、股関節が外れているのが解ります。

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次の写真が手術をして股関節が外れないように固定した手術後の写真です。

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下の動画は手術3週間後の歩行状態です。

犬の子宮蓄膿症

犬の子宮蓄膿症は、文字通り子宮に膿が溜る生殖器疾患です。症状は、食欲廃絶、多飲、発熱、外陰部からの排膿などです。この様な症状を認めた場合はご来院下さい。手術前の検査では、身体検査は勿論ですが、血液検査やレントゲン検査などを行い、エコー検査では特徴的な像を認めます。

1.手術前には抗生物質の投与や静脈点滴などをして脱水などを改善します。

2.手術では、膿の溜まった子宮と卵巣を丁寧に取外します。

3.退院は、手術後の状態にもよりますが、3~5日後ぐらいになります。退院時には、随分としっかり起立可能な状態となっています。

4.抜糸は手術後7~10日後におこないます。

 

次の症例は、ラブラドルレトリバー11歳です。主訴は、起立が出来なくなったとのことでした。問診では骨・神経疾患を疑いましたが、身体検査・血液検査・エコー検査をしてみると子宮蓄膿症と急性腎不全であることが解りました。 来院時の段階では腎臓で殆ど尿を生成していない状態であるようです。子宮蓄膿症の症例では、免疫複合体が糸球体に沈着することや細菌のエンドトキシンの干渉で腎臓機能の低下を認めることが時折あります。 治療は静脈点滴にて急性腎不全を治療した翌々日に子宮蓄膿症の手術を行いました。腎機能の改善に伴い排尿量が徐々に多くなりました。下の動画は、点滴をしている時の状態です。全く元気がないのが解ります。

次の動画が、手術直後の状態です。腎不全の再発もなく、無事に手術を乗切ってくれました。ぐったりしてますね。下の写真が、摘出した卵巣と子宮です。左側の子宮が太くなっていて、この中には膿が溜まっています。

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次の動画が手術2日後の状態です。まだ、食欲はありませんでしたが、目が覚めている時間が増えて歩行や起立時間も少しづつ長くなりました。この症例も手術5日後には退院することができました。

余談ですが、回復した段階ですでに子宮が破けて、お腹に膿汁が貯留している症例の予後は良くありません。以前、食欲の低下などの症状がないため、子宮蓄膿症を数カ月経過を見ていた症例がいました。いざ、食欲が無くなったため手術の依頼があり開腹してみると子宮の一部が破けそうになっていました。周囲の脂肪組織がその分部に張付き、膿の排出を防いでいました。 また、開腹した段階でお腹に滲出液が貯留している症例もいました。その場合は、閉腹する前に良く洗浄して、抗生物質を投与することで乗り切ることも出来るようです。非常に浸出液も膿も似ているので注意が必要です。 以上より、気付いた時点で、すぐに検査をして手術をすることが大切であると感じました。

犬の避妊手術

犬の避妊手術は、子宮と卵巣の病気、乳腺腫瘍の予防、発情出血などの煩わしさの予防、などを目的に行われます。手術内容は、開腹して卵巣と子宮を切除して取除き、閉腹する作業です。

基本的に手術当日の午前中に来院して頂きます。手術前・手術中・手術後は下の写真のように静脈点滴を行います。

HP DS 術後点滴

下の写真は手術創です。大きさは、症例によって異なります。

HP DS 術創

手術後の経過は、下の写真のような感じです。当日は、入院して翌日に退院します。

HP DS 手術3時間後

 

 

次の動画が退院時の様子です。この症例は、4歳のトイプードルです。この症例の様に元気に振る舞いますが、退院しても無理しないで下さい。ご自宅では、慣れない入院などの疲れもあり、ぐったり寝ていることが多いとお聞きします。

帰宅後、6日間化膿止めを投薬して1週間後抜糸します。それまでは、エリザベスカラーを装着しています。次の動画が抜糸直後のエリザベスカラーを外した様子です。本来の元気が出ているように思えます。

手術は予約制ですので必ず事前に電話にて受付をしてください。

犬の去勢手術

犬の去勢手術は、左右の精巣を除去する手術です。一般的には、若齢犬では排尿などのしつけの問題を目的に、シニア犬では精巣ホルモンに関連した病気の治療や予防のためなどに行われます。  基本的に、手術当日は入院し翌日に退院します。下の写真は、去勢手術前の写真です。

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次の写真は、去勢直後の写真です。精巣は除去してありますが、まだ膨らみがあります。

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ご自宅では3日間エリザベスカラーを装着して、化膿止めの投薬を行います。抜糸は必要ないので4日目にエリザベスカラーを外して終了です。下の動画は、手術終了直後の状態です。少し、左右へふら付いているのが解ります。

去勢手術を希望される方は、電話予約にて受付いたします。

猫の乳腺腫瘍

猫の乳腺腫瘍は、基本的に手術になります。乳腺腫瘍は、乳腺組織が腫瘍化したことで小豆くらいに大きくなると触れます。猫の乳腺腫瘍は、悪性の可能性が高いことが知られていて、乳腺付近にできた腫瘤は摘出して病理診断することが大切です。治療は外科手術と術後の抗がん剤治療が必要です。 乳腺腫瘍発生の予防は生後3回までの発情に避妊手術をすることです。

次の症例は9歳のメス猫で避妊手術はしていません。最近、急速に腫瘤が大きくなってきたとの主訴で来院されました。この猫さんは飼主さんも触れることは大変で麻酔をかけて初めて確認できたのが次の写真です。かなり大きくなっているのがわかります。乳腺腫瘍の大きさは、予後と関連性があり、乳腺腫瘍の大きさが大きいほど予後が悪いとされています。下の写真では3cm以上あります。

やはり、発生部位を考慮してすぐに手術することになりました。次が手術直後の写真です。

手術の時には、明らかな胸の転移巣は確認できませんでしたが、十分注意が必要です。また、本来なら外科手術後の抗癌治療を選択するところですが、ペットの性質上難しいと思われる症例でした。ただし、現在も食欲はあり元気もいっぱいです。

次の写真は、やはり下腹部に腫瘍があるため来院されました。触ると左側第3と第4乳腺に腫瘍がありました。猫の乳腺は正常でも左右4個づつあり、全部で8個あります。触れると分る腫瘍の他にも手術前にバリカンで剃毛することで、判明することがあります。この症例も左側第3と4乳腺切除は確定していましたが、剃毛後に右第3と4乳腺も微妙な膨らみを触知しましたので、結局手術は両側第3と第4乳腺、両側残鼠経リンパ節を切除することが手術直前で決定しました。

術後に切除した乳腺組織やリンパ節組織を病理診断することで、採取した組織の微妙な膨らみが腫瘍か?過形成か?取り切れているか?などを調べることが出来ます。手術後は、手術前より食欲と元気が良いとのことでした。残っている左右第1と2乳腺は注意深く観察しておくことが重要と思われます。

下の写真は、乳腺腫瘍切除1か月後の猫の腹部写真です。この症例は第3~4乳腺間に小豆大の腫瘤ができました。場所を考慮すると、乳腺腫瘍の可能性が高く、第3と第4乳腺と大きく切除しました。やはり、病理診断の結果、この腫瘤は乳腺癌(悪性)でした。当院では、悪性の場合には、手術後に抗癌治療をお勧めしています。

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ちなみに、乳腺腫瘍の発生率を下げるには、なるべく発情が始まる若い時に避妊手術(外科・猫・避妊手術のページをご覧ください。)を行うことが重要です。乳腺腫瘍摘出手術は、切除する大きさにもよりますが、最低当日は入院して、落着いたら帰宅します。ご自宅では、エリザベスカラーの装着と内服薬を6~12日間投薬して頂きます。抜糸はケースにもよりますが、1週間前後となります。

このできものは?と不安になった場合には診察にご来院下さい。

 

 

 

猫の避妊手術

猫の避妊手術は、雌猫の左右の卵巣と子宮を切除する手術です。望まない妊娠を防止することや発情に伴う鳴声などの煩わしさあるいは卵巣や子宮の病気を予防する、あるいは乳腺腫瘍の発生率を下げる目的で行われています。 また、猫が発情している時は、子宮が太くなり、血管も拡張しています。そのため、避妊手術を行う際には安全上の理由で発情期を避けて予約を入れて頂くと良いでしょう。

術前検査について

手術前には身体検査は必ず行いますが、血液検査やレントゲン検査、エコー検査や尿検査は症例ごとの性格と飼主の希望、身体検査結果などより総合的に判断して決めています。やはり、見知らない場所や人に接することで怖がりパニックになる猫も少なくありません。しかし、これら術前検査はより安全に全身麻酔を実施するうえで必要なことですので、実施できるならば行った方が良い事は言うまでもありません。出来るならば術前検査を実施することをお勧めします。

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手術は開腹して、卵巣と子宮を切除して、閉腹します。当院では、手術当日は入院になり、翌日退院です。ご自宅では、帰宅後エリザベスカラーの着用と内服薬の投薬を行います。

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1週間後に抜糸となります。下の写真は抜糸直前の写真です。

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下の写真は抜糸終了時です。抜糸終了時にエリザベスカラーを外すことができます。

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手術は予約制ですので予めお電話下さい。予約時に手術当日の注意事項等をお伝えいたします。

帰宅後のケアについて

最近、手術の際に手術後服やエリザベスカラーを用意して来院される飼主様が多くいらっしゃいます。私どもは手術後に2番目の写真のように顔にエリザベスカラーを付け、お腹には腹帯を巻いた状態で退院して頂いております。その為、事前に飼主様に術後服などを用意して頂く必要はありませんし、このエリザベスカラーと腹帯のセットで問題が起きたことはありませんので心配はありません。

また、退院後は化膿止めの内服薬を1日2回で投薬して頂いております。錠剤や粉薬を用意してますので飼主様と愛猫に合う剤型を選んで投薬して頂くことになります。また、猫においては抗生物質を投薬すると軟便や下痢を誘発することがあります。その場合は、内服薬の投薬を止めて病院にご連絡頂くようお願いします。

当院で抜糸が終わるまで、エリザベスカラーと腹帯は絶対に取らないで下さい。抜糸が終了してエリザベスカラーを外して終了になります。

こんなこともあります。

先日、「ねこを保護したので避妊手術をしてほしい。」と依頼がありました。定法通り、手術前に血液検査やレントゲン検査を行い異常を認めないため、麻酔を施しました。気管チューブを挿管して、剃毛しました。剃毛後に下腹部に以前メスで切った切開痕がありました。これは恐らく、以前に避妊手術が行われた可能性が高いため、飼主にその旨を伝えて手術を止めたことがあります。その猫の耳にはV字カットもないためわかりませんでした。この様なケースもありますので、より慎重に確認して避妊手術に臨むことが重要であると再認識しました。

 

 

猫の去勢手術

猫の去勢手術は、雄猫の左右の精巣を切除する手術です。雄ねこの発情を抑える、発情に関連した放浪、ケンカ、スプレー尿などの抑制効果を目的に行いますが、全て抑制できる訳ではありません。下の写真のように左右に丸く膨らんだ精巣があるのが、何となくわかります。この中には精巣が一つずつあるのでこれを切皮してとることになります。

手術前検査

手術前には必ず身体検査をします。身体検査に加えて血液検査、レントゲン検査、尿検査、エコー検査などをすることもあります。これらの検査項目は、身体検査で隠れている異常を検出するために行います。猫の去勢手術は時間的には30分前後で終了しますが、それでも絶対に安全な全身麻酔はありません。何か重大な疾患が隠れている可能性もありますので、可能な限りこれらの追加検査をしてから手術に望むことをお勧めします。ただし、最終的にこれを決定するのは飼主様になりますのでご検討ください。

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下の写真は、去勢手術終了後の写真です。陰嚢は膨らんでいますが、精巣は切除してあります。

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陰睾

一方で、割合は少ないのですが、時折見られるのが陰睾です。陰睾とは精巣が陰嚢まで下降せずにお腹の中に、あるいは陰嚢に下りる途中で止まってしまっていることがあります(陰睾)。

陰睾の去勢手術では、通常の去勢手術と異なり開腹したり、鼠経管から陰嚢まで下降する間で精巣を見つけて切除する必要があります。そのため、通常の去勢手術は上の写真の様に陰嚢に小さな切開のみなりますが、先ほどの説明の様に隠れた精巣を探すため下腹部に少し長めの切開を加えることになります。

皮膚切開の延長は、抜糸を必要として、1週間化膿止めの投薬が必要となることも通常の去勢手術と異なりますのでお気を付け下さい。なお、精巣が2つ陰嚢にあるのか?ないのか?がわからない場合は猫ちゃんと一緒に診察時間内にご来院下さい。

手術後について

陰睾の手術を除き、当院では手術当日に退院できます。抜糸なども必要ありませんが、退院時にはエリザベスカラーを装着して頂きます。3日後に再度来院して頂き、傷口に異常がない事を確認してエリザベスカラーを外して終了となります。自宅では3日間化膿止めのお薬を投薬して頂きます。